重度後遺症裁判36 高次脳機能障害とは
増澤秀明医師論文@ 概略
平成19年6月5日
 

ネット検索『脳外傷による高次脳機能障害を正しく理解するために』紹介

 高次脳機能障害とは、事故によって意識障害があったもののその回復過程において生じる被害者の認知障害と人格変成により、最終的には社会復帰が困難となる障害が残存する障害をいい、自賠責の等級認定で問題となります。
 自賠責等級表は、そもそも労災基準表であり、改訂されてないので、見逃されやすく、被害者は置き去りにされて来ました。脳外科の診察も脳のCTやMRIでの機械判定主義であるために、どうしても人格障害、情緒障害については診断も消極的とならざるを得ない医療現場の実情がありました。特にびまん性軸策損傷被害者に特有で、大脳皮質の表面損傷が目立たず、時として見逃しやすいとされ、見過ごされやすい障害であったのですが、自賠責制度が改善され、現実に高次脳機能障害審査部会設置され、今日に至ってます。

典型症例としては、日常生活に次の症状があるといわれます。
 認知障害―記憶、集中力 判断力 病意識 などに欠如や低下が見られる事
 人格変化―感情易変(簡単に変わる)不機嫌 攻撃性 暴言 暴力 幼稚
 羞恥心低下 多弁饒舌 自発性や活動の低下 病的嫉妬 妄想
認定要件は次の通りです。
 第1に交通外傷による脳の外傷があることが必要で、画像所見で、微細のものでも脳萎縮や脳室拡大が認められることが必要です。
 第2に一定期間の意識不明状態が継続している事が必要です。脳外科でも意識状態検査が脳機能推定の重要な基準とされ、JCSやGCSといわれる検査があります。これらの検査の点数結果が6時間以上継続すると、その予後は悪いといわれます。JCSでは100以上でGCSでは8点以下とされています。
 第3に具体的に診断書に頭部外傷後遺症、びまん性脳挫傷、脳挫傷後遺症などが診断書に記載されている事が必要です。
 第4に、事故前の意識回復の程度に顕著な差が見られるかどうか、このために知能検査が行われたことが必要です。
 第5に診断書やCT、MRIの所見も重要です。

【被害者のための重度後遺症の文献は他に永井肇編『脳外傷者の社会生活を支援するリハビリテーション』(中央法規)、『高次脳機能障害』(橋本圭司著、PHP新書)があります。】