自動車運転過失致死傷罪 刑法に新設される @ 平成19年5月17日
 

【法案成立】
 自動車運転過失致死傷罪の新設等を内容とする刑法改正法案が、平成19年4月18日に参議院本会議で可決され、本日5月17日に衆議院本会議で可決され、成立しました。衆参とも、全会一致で可決しました。(なお二輪の危険運転致死傷罪も今回成立しました。)

【業務のことば】
 この結果、刑法211条2項に自動車運転過失致死傷罪が定められます。自動車運転による人身事故は、この法律の適用となります。自動車による人身事故では、【業務上】という言葉がなくなることとなります。

【施行時と事故の呼び名】
 法律によれば、1週間後に公布され、その後20日で施行されます。6月中旬から、自動車運転過失致死傷罪がスタートすることになります。
 人身交通事故は、刑法犯の多くを占める犯罪ですが、6月からは、自動車事故の呼び方がこれまでの業務上過失致死傷罪から、自動車運転過失致死傷罪となります。7年が上限です。

【従来の業過事故は】
 刑法211条第1項は従来の業務上過失致死傷罪がそのまま残ります。5年が上限です。
 飛行機事故や船舶事故、医療事故、労災事故が適用対象となり、自動車による人身事故は2項の適用となります。

【全会一致議決の背景は】
 法案段階では、日弁連が反対でしたが、国会審議では民主党も含めて、全会一致でした。
 全会一致した理由を推察すると、キーワードは二つあります。自己責任と危険な凶器です。
 自動車運転は、飛行機や列車のように、システムによる運転を抑止機能はなく、運転者だけに運転を委ねるしかないという完全な自己責任です。ところが、わずかなミスによって発生する被害は、多数の人命を奪う可能性があります。川口市で起きた園児死傷事故や、広島県で起きたマイクロバス死傷事故では多くの人が犠牲になりました。自動車運転致死傷罪を、業過致死傷罪から切り出して、特別立法をしなければならかったのです。

【ほかの厳罰化法案の行方】
 なお、飲酒運転やひき逃げの厳罰化の道交法改正は今国会でまだ審議中ですので、刑法の方が先行することになります。

【法制審議会】
 私も法案成立前の法制審議会で、今回の法案について委員として意見を述べる機会がありました。歴史的機会に立ち会えることとなったと思います。議事録は匿名とされていますが、詳しくは、毎日新聞4月2日付け朝刊に意見を述べています(アップ予定)。