提言 業務上過失致死傷罪の刑を上限5年を10年に
〈川口市園児事故4人死亡を含み21人死傷〉これで刑が上限5年とは
平成18年10月17日
 

 10月16日の毎日新聞の記事で、被疑者(38)を業務上過失致死傷罪で起訴し、危険運転致死傷罪は、「証拠上困難と言わざるを得ない」ため適用なしのようです。
 事件は9月25日午前9時55分ごろ、被疑者が市道走行中、助手席のカセットプレーヤーを操作しながら乗用車を運転。道路左側を歩いていた私立小鳩保育園の園児36人と保育士5人の列に突っ込んだ事件。遺族が危険運転致死傷罪の適用を求めていた事件です。
 先日奈良の女児殺人事件では1人死亡で死刑判決。なのに、簡単な比較は出来るものではないとしても、4人死亡を含み21人死傷という被害の甚大さ、過失の重大さからいって、5年迄の業務上過失致死傷罪だけの適用だけで済むことに強い違和感を覚えます。危険運転致死傷罪であれば20年までの刑が可能なのに、業務上過失致死傷罪では上限5年であまりに軽い。
 悲惨な事故が起こるたびに、危険運転罪の適用の是非が議論されます。博多の危険運転罪が適用された事件は稀な例であり、遺族はがっかりする事件が非常に多いのが実情。
 一方で、飲酒ひき逃げの刑の上限引き上げが議論され、遺族は逃げ得がないように20年までの引き上げを訴え、警察庁は現行5年を10年に引き上げるとの考えが有力のようです。
 元々、業務上過失致死傷罪と危険運転致死傷罪との刑の不均衡を利用する犯罪者を許さないということで、ひき逃げの引き上げの必要性が議論されているものですから、いっそのこと、業務上過失致死傷罪の刑の引き上げを法律で作ったらよいのです。
 今回の危険運転致死傷罪立法による厳罰化では、人身事故の件数や被害者数が、昭和43年時の被害者数減少効果に比較して、顕著な効果は、まったく現れていません。ドライバーのモラルがかなり悪化し、捜査もやる気がなくなっております。車優先社会での国の起訴率減少政策が長く続いてきたためです。人身事故対策について、国は長い間放置した、どころか、非犯罪化政策を採り続けたため、捜査やドライバーのモラルは、著しく悪化したといって過言ではないでしょう。また、1人死亡も5人死亡も、業務上過失致死傷罪として5年までに過ぎないとするのも不条理です。1人1人の犠牲者に応じて刑を加算できないのであれば、上限5年はあまりに軽い。
 交通事故が、極めて危険な凶器となる『自動車』によって引き起こされ、多数の人命や身体を犠牲にする蓋然性が高いことを考えて、10年に引き上げるべきでしょう。傷害や暴行罪との均衡から考えても10年に引き上げるべきでしょう。