NHKクローズアップ現代出演して
厳罰化の次にあるもの 飲酒運転常習者対策
平成18年9月26日
 

 9月25日はNHKクローズアップ現代に出演しました。H18年4月の飲酒ひき逃げ逃げ得問題に引き続き、2回目。素敵な国谷キャスターを正面にして答えなければならず、今回もかなりあがってしまいました。今回は飲酒運転常習者対策です。
 国も気がついてない盲点にターゲットです。

 ビデオは博多の3人の子供さんの写真から始まり、各地で取り組む飲酒対策、そして、飲酒運転の要である常習者対策に絞られて行きました。さすがNHKです。前回の飲酒ひき逃げ厳罰化の放映後、反響があったと聞きましたが、今回は常習性にターゲットを絞った放映となりました。一歩先を行く報道テーマです。

 飲酒厳罰化から3年間、飲酒死亡事故件数は減っているのに、ここ数年は減少に歯止めがかかり、減少していません。その原因は何か。
 飲酒死亡事故が減少しなくなったのは、常習者の存在です。厳罰化の法律ができても、彼らには効き目がないようです。
 なぜか。アメリカのニューメキシコ州で始まった常習者対策がヒントになります。
(インターロックとは、運転者の呼気を車が検査して、アルコール反応がない場合に車のエンジンが始動するという装置です。)
@有罪宣告された飲酒犯罪者にインターロックの車への設置を義務付ける
 (インターロックと司法との結びつきは、画期的です)
A常習程度に応じて、義務付け期間を数段階にする。4犯ともなると終身義務付け
Bインターロックの記録を行政が日常的に監視し、違反があれば裁判所に報告。
 いわばインターロック制度と保護観察制度と教育刑が合体したような制度です。
インターロックがモニタリングされて、飲酒犯罪の発生をあらかじめ予防するととも
に、常習者に対しては飲酒運転の違法性を継続的に教育していくことが画期的です。

 日本で見落とされている点はいろいろありますが、飲酒運転犯罪の特質の理解と対策です。
 アメリカニューメキシコ州の対策には、重要なヒントがあります。
 飲酒死亡事故を起こしたドライバーは、酔っているため、軽い気持ちで車に乗ります。
酔っているため人身事故を起こしても悪いという認識が極めて薄いのが実情です。
 つまり酔っ払い運転者は、軽く車に乗り、事故を起こしても大変なことをした、という認識がないのです。
 私の依頼者の多くの飲酒運転被害者遺族が口にするのは、まったく反省の情がないということで、他の死亡事故の加害者とは、明らかに一線を画しているように感じます。そのため、事故を起こしても、自分のことで精一杯。証拠隠滅をしたり、ひき逃げをしたり、違法行為を平気でやってしまうのです。酔っ払っているので、違法性の意識が鈍磨しているためです。飲酒運転者に常習性が多いのはこの違法性の意識が少なすぎるためです。
 裁判所で懲役刑を科しても、効き目がないのは当然の帰結です。他の対策を考える必要が当然あります。常習性をなくすためには、受刑後も継続的に違法性の認識(悪いことをしているんだという反省)を教育していかねばなりません。
 そのために、違法性の認識をもつためのカウンセリング、遺族の話を聞くこと、インターロック装置車の義務付け、等が必要なのです。

飲酒厳罰化、条例による罰則強化など
 なお飲酒運転による結果は極めて悲惨な場合が多く、アメリカでは殺人罪の適用がなされる場合もあるほど、飲酒運転の車は殺人凶器とみなされています。このため、アメリカで適用される殺人罪の適用はなく、せいぜい危険運転致死傷罪の適用にとどまり、まだ飲酒運転に甘い社会です。この反省が今各地で起こっており、公務員社会、飲食店に啓発するムードが漂い始めています。厳罰化の施策も社会全般で開始されました。