重度後遺症裁判(31) 事故直後どうしたらよいでしょうか? 平成18年7月28日
 

【事故直後どうしたらよいでしょうか?】
 『2月に弟が交通事故にあい、まだ意識が戻らず、重度の後遺症を負わされました。加害者は無免許でひき逃げ、その他窃盗罪、覚醒剤使用の常習犯ととんでもないのに、地裁判決で3年6ヶ月と言われました。無保険車であると聞きました。また最近加害者が控訴したという通知がきました。加害者は控訴して刑を軽くしようとしていますが、重くなることはあるのでしょうか。やはり、意見陳述をする方法を考えた方がいいでしょうか?このままでは本当にどうなっていくのか不安です。どう対処していったらよいか教えてください。』

【回答】
刑事面
 被告人が控訴した場合、検察が控訴していない限り、刑は重くなりません。加害者の刑を減刑する機会となるシステムです。出来れば控訴期間に検事に控訴を依頼すべきだったかもしれませんが、検事が控訴する確率は低いのでこうなってしまったのはやむをえないでしょう。
したがってこれからの被害者側としてのおおむねの対策をいうと

@被害者またはその法定代理人ならば意見陳述が法廷できます。
 ただし、それ以外の者、たとえば姉,親、妻であっても法定代理人でない限りできません。
 未成年なら、親が親権者として意見を述べられますが、成人ならば、家庭裁判所に申し立てて後見人にならない限り,意見陳述はできません。
 意見陳述をする方法にこだわる必要はあまりありません。検事への書面として提出することがまず必要です。その弟さんの夢や希望はどういうものだったか、そして今どうなっているかの状態を検事は知りませんから、被害者である弟さんの立場に立ち、どんな状態になっているか、そしてそのために家族の人たちがどういう介護や生活となり、毎日を暮らしているか、被害の実情報告として提出することです。家族全員が犠牲になっていることを、知らせる必要があります。重度後遺症の被害実情は刑事記録には載らず知られていませんから、被害実情を提出すれば、捜査や処罰面で、かなりのインパクトがあります。

A被害者や被害者家族として書面提出や意見を述べることも出来ます。
 上申書として検事宛に出す書面による方法です。但し加害者の弁護人が不同意ならば裁判所には提出されません。
 次に証人として出たいと検事に言って、証人として法廷で厳罰を求める意見を言うことも出来ます。検事の質問に応じる形となります。但し、これは書面を見ずに,記憶だけで言う必要があります。
 何も言えない被害者をできれば法廷に出すことが一番かもしれません。被害実情としては、それに勝るものはありません。それができない時には、介護の様子や症状をビデオにとり,テープを3本検事に提出すれば,検事が被害の実情を示す証拠として採用するでしょう。

民事面
 医療費関係は、まず身体障害者手帳の為の診断書を医師に作成してもらい、できるだけ早いうちに医療費を無償扱いにするようにすることが必要です。
 症状固定はあわててせずに、生活や裁判準備の目処が立ってからすることが肝要です。症状固定をしたら、休業補償をもらえず、医療費の支払いがストップしますので、今後の生活等の見通しができてから症状固定すべきでしょう。自宅介護も迫られます。

 症状固定となったらどうするか? 通常は自賠責請求ですが、これに加入していないとしたら、次のことを考える必要があります。
 貴方の弟さんやお父さんの任意保険を調べてみる必要があります。もし無保険車傷害条項が含まれていれば、これによる損害回復ができることとなります。それがない場合は、ひき逃げ犯や無保険車による被害者のための政府補償事業による損害回復があります。一般に自賠責金員の支払い額に準じます。各損保,共済組合等に書類はあります。