不起訴に対する不服申し立て 平成18年7月14日
 

1 検察審査会への申し立て
 検察の不起訴処分に対する不服申し立てで、一般的に知られているのは、検察審査会への不起訴不当申し立てです。
 たとえば、よくあるのは業務上過失致死傷事件で起訴されているのに、道路交通法(ひき逃げ)で不起訴とされた件で道交法違反事件の不起訴不当を争う場合などです。逆に道交法違反事件で起訴されたのに、業務上過失致死事件で不起訴とされ、不起訴不当を訴えるケースもあります。
■審議
 検察審査会で、どういう審議がされ、どういう結論になるかは非公開のため実態が判明しません。というのは捜査記録を見るのはそれなりの知識が必要と思います。実態としては、検察審査会の職員の発言の影響も大きいはずですし、声の大きい人の影響が審議にあるのではと邪推するほどです。
■審査員
 メンバーは11人の審査員で協議され、過半数6名が賛成すれば不起訴不当の決議となります。8名が賛成すれば起訴相当の決議となります。
問題点 審査員が一般人であるため審査内容に信頼がないとされています。そのためか不起訴不当決議については拘束力の議論がありません。議論されているのは、起訴相当の決議があった時の拘束力です。不起訴不当でも拘束力を認めるべきというのが、被害者側の意見ですが、法案の中身にはなっていません。
 審査も公開されていないため、何が議論されたか、わかりません。
 書面で提出するだけで終わりとなります。審査員に直接説得するような機会はありません。
 検察審査会の決定についての不服申し立て方法はありません。
■法改正
 起訴相当決議をした場合、拘束力をもたせるように、最近法改正され、2度の起訴相当決議がなされた場合には、起訴できるようになったようです。裁判員制度のスタート時期に、施行されると聞きましたが、2度も起訴相当決議をするというケースは稀でしょうね。

2 検事長への申し立て(不起訴撤回と捜査再開)
 不起訴処分の不服申し立て方法で、意外に知られていないのが、高検検事長に対する不服申し立てです。但し『不起訴撤回し、捜査再開を求める』との申し立ての趣旨となります。
 検察審査会の決議の拘束力は検察に向けられませんから、同時に、或いは、単独申立てにより、高等検察庁検事長宛に『不起訴を撤回されて、捜査を再開されるよう申し立てる』方法も選択できます。
■申し立ての相手 
 高検の検事長です。
■申し立て根拠   
 特に法律に明示ありませんが、個人的には何回か申し立てておりまして、不起訴撤回され捜査再開された事件もあります。申し立ての根拠ですが、不起訴担当の副検事や検事の直接の指導監督権限は検事長にあることです。
 地方検察庁では検事正がトップのはずが、各検事の職務の独立性を担保するため、各検事の職務の指導監督は地検の交通部長や地検の検事正が行うのではなく、高等検察庁のトップである検事長が各検事への指導監督を行うのです。
 地検の交通部長や検事正への申し立ても事実上は出来ますが、法的には検事長の指導監督権限による副検事の職務への介入を狙うものですから、効果がないというより逆に担当副検事等を通じ意地悪されることがありますので、この点は重々考える必要があります。

 不起訴処分は絶対的最終的なものでありません。新たな証拠が出たり、あるいは捜査再開して、一旦起訴猶予とした処分を検察が撤回し、起訴に持ち込むこともあります。そのためには、高検の検事長の職権の発動(職務指導や交代)を促すことが必要です。
 明らかな証拠があれば、すぐ捜査できる点で意義があります。
 捜査は時間が経てば、効果が薄いものとなります。
 特に目撃者の供述は日々薄れますから、目撃者が絡む事件は高検検事長への捜査再開申し立てがいいでしょうか。

3 どの方法がベストか
 検察審査会の事件処理能力は、事件数も多く一般人が審査員なので、結論を出すまで時間がかかります。時間の経過を待っていい事件であれば、検察審査会での審議を待ったほうがいいでしょうが、そうでなく目撃者がいる場合は捜査権の早急の発動を促すべきです。検察審査会の判断になじむかどうか検討すべき点でもあります。
 検察審査会の事件となると記録は検察庁から一旦離れますので注意を要します。このためかもしれませんが、検察審査会で不起訴不当の結論が出ても検察庁が、不起訴を撤回して起訴とすることが原則とされていないようです。