ドイツに学ぶ @ドイツの交通事故捜査
ベルリン州警察官ラルフピーターソン(Mr. Ralf Peterson)に聞く(通訳 Maki Neuendorff さん)
平成18年4月25日
 

 ドイツの交通捜査事情を聞くために、平成18年3月Maki Neuendorffさんの友人のドイツの現職警察官にドイツの交通捜査事情について聞きました。
 日本の交通捜査が後進国であるとつくづくわかります。

1 警察官の仕事への取り組み方
*交通捜査担当官の職務*警察官の仕事に誇りを持っている。
*原則として本人の希望により交通捜査課に配属され、職場が転々と変わることはなく、退職まで交通捜査を続けることも珍しくない
(日本の交通警察は、日経新聞のアンケートでは、80%が仕事に誇りを持てず、やる気がないとされていました。士気が違います。配置転換が日常的な日本と違います。)

2 損保との関わりや情報交換
*警察段階での捜査情報は原則として、遺族と損保に対して同時期(送検後)に検察から遺族・損保弁護士に原本が開示される
 (日本では警察のОBが損調に就職し、捜査段階で、警察に平気で出入りし、情報を得ていますが、ドイツでは、捜査段階では、片方に情報が入ることはないようです。)

*必ず検事を通して接触をする。
損保が警察の情報を必要とする場合でも、検事を通さずに警察官が損保とやり取りをすることはない。
(日本はこれが平気で通用しています)

* 交通捜査担当官が退職後、損保や損保リサーチ会社等に就職するなどない。
(日本では、警察官の大事な就職先で天下り先です。不公平なわけです)

3 事故捜査
*事故の捜査は、重大事故とそれ以外の事故に分かれている(が実際は雑務的仕事もする)。
(死亡事故は特殊な専門チームで捜査をするようです。日本は違います)

4 航空写真
*予算の関係でベルリンでは航空写真をとることはない。但し必要があれば、警察官の指示でとることもありうる。

5 被害者との関わり
*死亡事故の連絡は原則として、捜査担当警察官が必ず遺族等と直接面談して報告をする。
その後の対応もアドバイスする。遠方だったり、現場での証拠収集、目撃者の確保や搬送先病院とのやり取りで長時間を要する時等は、他の警察官に行ってもらうが、電話で死亡を報告することはない。
(直接、事故担当警察官が、遺族に面談をするということです。日本では考えられません。ドイツ警察は、被害者への対応が非常に丁寧ですね。)

* 原則として警察段階で遺族に(損保にも)捜査情報は開示されないが、警察での捜査が長期間におよぶ場合は、遺族弁護士が検察に捜査情報の提供を申請し、検事が内容・時期を判断し、警察官から遺族弁護士に情報が開示される。

6 目撃者情報
*警察が得た目撃情報はすべて捜査情報に含めて送検し、信憑性等は検事が判断する。
例:信憑性が低いと警察官が判断した目撃情報についてはその旨コメントをつけておくが、警察段階で証拠としての採用・不採用を判断せず、すべて送検する。
* 目撃者本人についての個人情報としては、通常、住所、氏名、生年月日、電話番号を提供してもらう。目撃者についての情報も他の捜査情報と同様、遺族、損保への開示については検事が判断する

7 不起訴事件
* 検事が不起訴と判断した事件については、遺族が弁護士を通じて裁判所に裁判官による判断を申し立てることができる(日本は法的救済に道はありません)。
* 地裁が不起訴と判断した場合、高裁、最高裁に同様の申し立てができる。
* (日本は不可)。

8 加害者による供述
加害者は、自分が不利になる証言をしなくてよい権利を有しているため、捜査においては物証と目撃者証言の確保に注力する。
加害者から自分に不利な供述が期待できない、あるいはパニック状態や死亡事故を起こした罪悪感から逃れるため「自分は法律を守っていた」と信じたい思い込み等から事実と異なる供述をすることも多いことを前提に捜査をするという。
 (日本は、加害者の言うことをそのまま調書に記載します。ドイツとは対照的です)

9 加害者側からの接触
 市会議員等が警察にアプローチすることはありえない。
   (日本は加害者側に市会議員がつきます。)
それは歴史的経緯(三権がすべてナチスに集中してしまったことへの反省)に由来。
行政:警察、検察 
司法:裁判所
立法:政府、議会
の三権分立が徹底している。
 それで、市会議員が交通事故の加害者の処分を穏便に、ということはない。

注:会話が英語だったため、日本語・独語・英語で使用されている用語の使い方にズレがある可能性があります。