スウェーデン交通事故死・重篤障害者ゼロビジョン 平成18年1月28日
 

 交通事故死者は年間7千人を下回る減少ですが、スウェーデンは死者だけでなく重篤障害者もゼロにしようとの画期的取組みがあります。記事を紹介します。

【国を挙げて行っている交通事故死・重篤障害者ゼロ運動】
(ボルボファミリー 117号2005年冬版より)
 行政や警察だけでなく交通に関するすべての人々が参加するとされているスウェーデンの運動です。このゼロビジョンは1997年の国会承認の「交通事故による死および重篤な障害ゼロ」を目指すプロジェクトである。死者・障害者ゼロという明確な目標を実現させるため、交通システム整備などの基礎的な戦略を進められ、自動車に関する産業全体を含めた対応です。
 「このプロジェクトに責任があるのは国会を含めた地方議会、行政、道路関連行政団体、警察、自動車メーカーおよび販売会社、輸送が必要な企業および輸送する企業、道路関連団体、そして、道路を使うすべての人が対象になります。」と政府関係者が述べている。
 この報告によれば、『単なる交通安全運動と異なるのは、交通に関するすべての人たちに課せられた総合的な取り組みである点だ。その背後には、「安全は人権の一部である」というスウェーデン政府の考え方がある。
 今まで私たち道路庁の人間は、起こった事故を調査して、次の道路建設に生かすといった手法を取っていましたが、ゼロビジョンはまったく違います。まず事故は起こるものと考え、それが起こる背景を徹底的に分析して、起こらないように初めから予防策を施すというものなのです」。医療でいえば、治療よりまず予防という逆の発想になっている。』という。
 ゼロビジョンの効果はすでに表われ、90年代は年間800〜900人だった交通事故死は、2000年は591人、2004年は480人と激減している。その成果からEU諸国でもこの運動が始まり、2010年までに交通事故死および重篤な障害を半分にまでするという目標が立てられている。さらに中国でもこのゼロビジョンを取り入れる動きを見せている。
 日本の道路事情と大きく違っているのが、信号がない交差点では、「ラウンドアバウト」と呼ばれるロータリー式になっていること。出会い頭の事故が防げるこのシステムは、イギリスで生まれたもので、スウェーデンをはじめ、オランダ、フランスなどで採用されている。また、1車線と2車線が交互に交じるようになっており、追い抜きが安全に出来る道路のシステムも採用。さらに、信号は、「青」「黄」「赤」「黄」の繰り返しで、「青」の前に「黄」が入ることにより、運転者が横切る車の動きを注意深く見られるなどの工夫もしている。
 そのほか、次の施策もある。

  • 道路の真ん中に中央分離帯を設ける
  • 衝突すると危険な場所には、ガードレールを設ける(始点と終点は衝突をやわらげる木製)
  • シートベルトは後方座席も着用を義務化
  • 住宅街の制限速度30km
  • 電線は地中に埋め、電柱はなし。電柱が地上にないことは、車の衝突を防ぐばかりでなく、自転車や歩行者の視野を妨げないことにもつながっている
  • 自転車のヘルメットの着用義務あり
  • 冬はスタッドレスタイヤを義務づけ
  • 居眠り防止や減速をうながす路面突起
  • 広い歩道やサイクリング専用道路
  • ドライバーが認識しやすい場所・タイミングに設置されているロードサインなどの工夫
  • ヘッドライトは昼間も点灯することが義務づけられている。点灯することによってエネルギーも消費するが、それよりも安全性を考えた措置である。

 スウェーデン交通事情は、日本が見習う点も多い。たとえば交差点の構造と信号に事故防止の特徴がある。交差点は日本のような十字でなく、ラウンド(旋回)の点で事故防止であり、信号も赤と青の前に必ず黄色が入っていることも特筆すべきである。早急に改善できる点が含まれている。被害者サイドから見た交通政策について考えさせられます。