急増するひき逃げ 平成17年11月22日
 

 ひき逃げ事件はH10年の9千件が14年には1万8千と倍増です。5年間で倍増は社会現象として異常です。人身事故件数が増加といってもこれほど激増でないからです。最近は人身事故件数は頭打ちになってますから、ひき逃げ事件が倍増しているのはどうして? の疑問が出てきます。

2001年新設の危険運転致死傷罪と事故抑止効果
 危険運転罪立法前、人身被害者は昭和45年の99万人からS52年に60万人に激減しました。しかしその後一貫して増加し、現在118万人台です。
特に平成5年以降の被害者激増は憂うべき事態でしたが、危険運転致死傷害罪の法律が施行され、増加は頭打ちとなりました。118万人台で推移しています。事故の減少はないのですが、新法が交通犯罪を抑止しことは明らかです。
しかし危険運転罪立法から4年経ち出現した現象はひき逃げの増加です。

ひき逃げで刑罰が軽くなってしまうのはなぜか?
 飲酒運転でひき逃げするドライバーはいましたが、危険運転致死傷罪施行後から極端に増えました。一晩経てばアルコールはなくなるので、飲酒運転発覚を恐れ後で出頭する場合が多く、逃げ得が実情です。
 飲酒の危険運転致死傷罪がアルコールを要件(呼気1リットル中0.15mg以上)とするためアルコール検知を逃れる被疑者の激増です。飲酒運転で危険運転致死傷罪となるのが、翌日出頭すればその適用が免れるのです。法律の抜け穴を利用するドライバーを罰する必要があります。

『現行法のひき逃げの救護義務違反罪の刑を重く』の遺族の厳罰署名運動
 ひき逃げは現状5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。被害者遺族は家族が見殺しにされているわけで『助かる命をも見殺しにする犯罪なのに刑が軽い』と思うのが当然です。そのためひき逃げ厳罰化の署名運動が起こるのです。
 逃げ得を許すなら、危険運転致死罪やひき逃げはザル法です。
 ひき逃げは5年以下の懲役または罰金50万円以下と禁固刑がなく、業過致死傷罪より若干重いのが現行法です。厳罰化の必要性は、ひき逃げが故意犯で、差し迫る人の身体生命への危険を放置する場合ですから違法性が大ですから刑を引き上げてもいいと思います。現行の5年を上限とする救護義務違反罪の引き上げの問題は業務上過失致死傷罪より明らかに重くしてもいいかとの刑のバランスや道路交通法違反の刑罰と比べて衡平を欠くのでないかと言われてます。
 軽傷でもひき逃げの厳罰化の対象となるのも変です。軽微な事故で逃げても厳罰となるのはそぐわないでしょう。法務省が腰をあげるには壁があります。

ひき逃げ事件の防止で、警察や検察に求められる対策は何か。
 ひき逃げされると検察が危険運転を立件することは非常に難しい。実際は業務上過失致死罪とひき逃げで処罰されます。しかし、ひき逃げで得する構図は不公平なので対策を真剣に考える必要があります。飲酒運転の事故とひき逃げは悪質です。常習で故意犯です。その認識が捜査にあるのでしょうか。運転者は逃げれば危険運転で処罰されないため、業務上過失致死とひき逃げで処罰されますが、処罰はあまりに軽いのが現状です。しかしひき逃げは事故発生を認識し逃げるから故意犯で悪質ですから、処罰も重くした方がよいのです。

問題は警察の検挙率や、検察の処罰の運用面です。
 警察のひき逃げの検挙率は昭和62年まで9割以上でした。1作年は26%です。検挙率の著しい低下は、警察の士気がなさを示します。
 さらなる問題は副検事です。ひき逃げが厳しく処罰されてないという副検事の不信があります。警察がひき逃げで捜査しても副検事が起訴をしないのです。私の担当事件でも、警察がひき逃げで捜査をしても不起訴としたケースで、検察審査会が不起訴不当と決議をしたのが2件あります。業過致死罪だけ起訴してひき逃げを起訴しません。ひき逃げに甘い検察の運用です。検察は法廷の求刑にしても、業過致死罪とひき逃げは、併合罪で7年半まで求刑できるのが実際は2〜3年です。厳しくできるのにこれをしない副検事の姿勢が問われます。ひき逃げは12月30日に日本ТV系列で18時30分から特集報道されます。