証拠カイジ? 加害者にだけますます開示され、被害者の権利が侵害される刑事訴訟法とは 平成16年10月4日
 
遺族 『刑事裁判公判で検察が提出しない調書を、被告弁護人が提出してきました。何か変じゃないですか、おかしいですよ!』
松弁 『記録の検察の証拠目録にない供述調書が弁護人から提出されたのですか?』
遺族 『謄写した中には、弁護人提出の書証は検察提出証拠にありませんでした。』
『検察が裁判に提出しない調書を、どうして弁護人が出してきたのですか? 前の交代させられた検事がこっそりと弁護人に渡したりしていませんか?』
松弁 『そんなことはないでしょう。それにしてもなんで弁護人が裁判に出ていない証拠を持っているんでしょう。』
『被害者は公判開始後、裁判長の許可を得た後に閲覧できるのに対して、加害者は公判開始2週間以上前に、弁護人は検察提出予定証拠を見ることはできます。』
『しかし、検察が提出もしない証拠を入手できないはずなんですがね。』

数日後
遺族 『検事と話したら【加害者の弁護人から証拠開示請求されたので渡した】と言われました。』
松弁 『なるほど。証拠開示請求を加害者側がしていて、これに検察が応じたのですね。』
遺族 『先生、証拠開示請求って何ですか?』
松弁 『検察が裁判に提出をしない証拠があります。理由はいろいろでしょうが、被告人にとって有利な証拠はできるだけ出したくないのが検察の本音です。それを見せてくれ、謄写させろ』というのが証拠開示請求です。
遺族 『えー、そんなのが入手されたら、被害者には不利じゃないですか。』
松弁 『そういうことになります』
遺族 『それって変じゃないですか。遺族は絶対に知りえない捜査情報を加害者だけがどうして知ることができるのですか』
松弁 『刑事訴訟法は、被疑者や被告人を保護するための法律ですが、最近はより加害者を保護しようということになってきているのです。』
遺族 『それじゃ、ますます遺族は蚊帳の外ですね』
松弁 『そうです。遺族は刑事裁判の当事者と扱われない上、証拠で提出されない未提出記録に接することはできませんから、非常に不公平です。』
『被告弁護人が不同意とした調書は、被告人は謄写し知っていますが、被害者には謄写を認めていません。』
『遺族に謄写を認めないのは、前科、目撃者の住所もですが』
遺族 『すると、被害者は蚊帳の外というより? 何なんですか。ほんま』
松弁 被害者は法律上は『証拠物』として登場と理解されてます』
遺族 『なんちゅう法律や。被害者を人間扱いしてないのですか。』
松弁 『実務は、捜査情報は加害者が優先取得し、被害者はますます入手出来ません。』
遺族 『人間扱いされず、ますます不公平になっているのですか。』
松弁 『捜査情報開示の必要は、捜査段階から裁判段階のどのレベルでも必要なのですが、実務は加害者の人権保護の方ばかりです。被害者にとって法治国家じゃなく放置国家ですね。』
遺族 『情報開示だけでなく、ただでさえ被害者は法律上不利なんでしょう。』
松弁 『そうです。たとえば、提出された調書を加害者弁護人が不同意とすると、検察はこれを撤回します。その部分が公判記録にないことになりますから、遺族はこれを永久に入手できません。』
遺族 『すると、ますます被害者は不利だとなるのですか。』
松弁 『そうなります。』
遺族 『どうして、被害者だけがつけを押付けられるのですか』
松弁 『日本の法治主義は、被害者を含む法治主義ではありませんで、被害者は法治主義の枠外にあります。』
遺族 『先生、それって変じゃないですか?』
松弁 『そうです。ドイツ、フランスなど欧米では、被害者には刑事訴訟法上の当事者として参加できる権利があり、検事席の横に被害者の席があり、刑事訴訟法上の権利が保障されております。日本では被害者の権利はありません。だからますます不公平となるのです。』
遺族 『司法改革と言われてますが、どうなるのですか』
松弁 『日本での司法改革は、被害者抜きでの司法改革です。期待できません』
遺族 『先生、私たちは法の保護を受けられないのですか』
松弁 『遺族が立ち上がり、不条理な現行法を変え、立法をしないと無理です。司法界に任せたら加害者の人権だけが優先されやすい、そういうシステムなのです』