事件簿 民事 子供の死亡慰謝料
損保や損保弁護士と戦うため。(7歳男児2900万円)
平成16年8月8日
 

1 慰謝料は事故の悪質さによって金額が違ってくるのは当然であり、どんな事故でも画一的にいくらと定められるものではない。事故の悪質さは亡くなった被害者本人の慰謝料に反映されるのが当たり前と思います。その意味で事故態様を検証することが大事である。かつて処理基準がばらばらで画一化の要請が強かった時代に、慰謝料がマニュアル化され、一家の大黒柱が高く、子供が安いとされた。最近の2004年版赤本(司法界の絶対マニュアル)では、一家の支柱2800万円、母親配偶者2400万円で、子供は2000万円とされている。赤本は悪しきマニュアル裁判の象徴です。皆で寄って集ってマニュアルを信じて疑わないのは、およそ司法の姿でありません。行政事務でありそれに沿う裁判官は要りません。

2 子供の死亡ほど悲惨なものはないのが実情です。社会通念であります。被害者が弱者で、そこに悲惨さがあるのです。被害者である子供には、ほぼ落ち度もないのに、大人である加害者の過失運転により幼い命を奪われたのである。かかる観点に立って、慰謝料判断を考えるべきである。特に、被告が実刑になった場合は、司法統計年報を検討しても相当重い刑である。データ的も平成8年版で業務上過失致死罪の処罰実態で、公判件数2444件うち1年以上の実刑354件、2年以上の実刑48件、実刑の場合には、著しい重過失による事故として慰謝料増大事情とされるべきである。

3 子供の死亡慰謝料の判例
最近では3〜8歳の子供の慰謝料で2000万円を大幅に超える例もある。東京地裁平成15年7月24日判決で、東名高速道路2女児追突焼死事故で女児3400万と認めた。子供の死亡慰謝料について当職が受けた判決でも次のとおりである。
(1) 7歳女児 2800万円(本人2400万円)
大阪地裁平成10年(ワ)第13346号 平成11年6月28日言渡確定
(2) 20歳男子 3000万円(本人2350万円)
大阪地裁平成11年(ワ)第11093号 
平成12年8月25日言渡控訴後確定
(3) 7歳女児 2550万円(本人1800万円)
大阪地裁平成13年(ワ)第8581号 
平成14年2月7日言渡控訴上告後確定
(4) 8歳男児 2605万円(本人2000万円)
大阪高裁平成12年(ネ)第1959号 平成12年9月28日言渡確定
(5)7歳男児 2900万円(本人2500万。両親400万円)
大阪地裁16年7月30日言渡し判決 平成15年(ワ)8918号

死亡した子供の慰謝料が高額なのは、遺族の悲しみが極めて深く、長期間癒しがたく、相当長期間の生活破壊が継続するからである。時として母親がPTSDとなることすらあり、生活破壊は家族全員に及ぶ場合もある。かかる理解や努力が司法にありません。

なお最近は、報道機関のプライバシー侵害の慰謝料100万円の基準が、500万円を上回り900万円と認定した判決も出てきてます。増額傾向です。
交通訴訟でもかつての上限3千万円を突破するようになってきた。東名高速2女児死亡(3400万円)だけでない。たとえば平成15年3月27日東京地裁合議体判決では、61歳男性の慰謝料3600万円を認定している(交通事故民事判例集36巻第2号439p〜)。かかる増額傾向は、慰謝料の個別性や具体性からいえば当たり前であり、事案に則して高額認定をどんどんすべきであろう。