事件簿 民事
【自賠責請求せずに裁判したら弁護士費用は少なくなるか?】
平成16年8月4日
 

これも損保と戦う争点でして、誤解が良くあります。損保弁護士が被害者側でするため、徹底的に争われず、損害から削られてきました。赤本でもそのような記載すらあります。
自賠責を請求せずに一括請求で裁判をした場合の争点として必ず出るのが『自賠責請求できたのにしていないから自賠責請求すべきであり、弁護士費用は自賠責分3000万円分の弁護士費用は算出されるべきではない』というのが損保弁護士の主張です。
これに対して明確に否定し『弁護士費用は全額に付いて生じ、減ずべきでない』とする象徴的な被害者保護の高裁判決で気持がいいほどすっきりする判決です。ここまで言い切る裁判官に感謝、感謝。

【控訴人らは、被控訴人らが自賠責保険に対する被害者請求の手続をしていれば約3000万円の保険金の支払を受けられたはずであるとして、損害総額から自賠責保険金相当額を控除した金額について弁護士費用相当損害額を算定すべきであると主張する。
しかし、この主張は到底採用できない。控訴人らは、被控訴人らに対し、以上に説示したとおりの額の損害賠償金を支払う義務を負っているのである。にもかかわらず、その任意の支払を拒絶したため、被控訴人らが弁護士を代理人として訴えを提起せざるを得なかったものである(弁論の全趣旨)。そのために要する弁護士費用相当額は、本件事故と相当因果関係に立つものであって、控訴人らが負担すべきは当然である。
控訴人らが主張するように自賠責保険金の支払を受けられるというのであれば、よろしく控訴人らが被控訴人らに対し任意に賠償義務を果たし、そのうえで加害者請求をすれば足りたのである。そもそも、自賠責保険に対する被害者請求権は、被害者やその遺族に対して認められた権利であって、義務ではない。被害者請求を被害者の義務のように前提する控訴人らの主張は、その点でも当を得ないものであって、採用できない。】(大阪高裁平成16年7月14日言渡し判決)。