重度後遺症裁判のために(16)
−付添費と将来介護費の違い−
平成16年3月23日
 

1 付添費と介護費の年度別変遷
付添費と将来介護費については、取り扱いや1日あたりの単価は、交通事故賠償訴訟の基準とされる【赤本】でも年度で変遷があります。
付添い費は平成8年〜平成13年版までは『医師の指示または受傷程度、被害者の年齢により必要があれば職業付添い人の部分には実費全額、近親者付添は1日6千円。但し症状の程度により、被害者が幼児児童の場合には1〜3割の範囲で考慮することがある。』と同じであるが、平成14年版から金額が6500円と増加しています。
介護費は平成8年〜平成13年版まで6000円、平成14年から8000円となりました。

2 付添費と介護費の違い
付添費と介護費の違いをようやく裁判所、弁護士会が認識しだしたようです。
両者は、赤本で見ると、平成8年〜平成13年版まで6000円と同じでした。
ところが、平成14年版から付添費6500円に対し、介護費8000円と違いが明確化され、付添い費に比べて将来介護費が高くなっています(付添費も少し高くなった)。
これは、どうしてでしょうか?
赤本の立場では次の通りです。
家族が自分の人生を犠牲にして介護を一生することとなるから、短期の入院付添いとは異なるし、また本来は社会が負担すべき介護労働を家族が個人的犠牲になっているから、職業的介護にすり寄せる必要がある、とされたからである(赤本の解説 ぎょうせい出版の交通損害賠償算定基準より)。

被害者の立場では次のとおりとなります。
加害者天国ニッポンHPで問題を再三指摘してきましたのは、12年8月23日【重度後遺症被害者解決システム問題点】で『家族の介護費に関する裁判所の認定は不当と言える程低い。職業的介護者の約6割程度で、家族が4割分の労働を家族だからという理由のみで無償でさせられているのである。およそ近代国家とは思えない処理である』。13年2月21日【重度後遺症被害者の介護費】で『判例分析すると2つの基準がある。まず、現実に近親者が介護が出来るのかどうかを決め、1日単価を算定する。近親者が介護出来る場合は近親者が介護すべきである。介護費用は近親者で6千円、職業介護費は1万円位が上限である。近親介護と職業介護で2倍格差がある。 事故に遭わなければ家族は介護などする必要はないのだから、家族が介護するのが当然という考え方に問題がある。事故のリスクを家族が負うのは当然だ、はあまりに封建的』と,指摘をしてきました。
最近基準が変り、将来介護費を高めとしたのは、あまりに家族介護費が低すぎたということでしょう。それでも、1日あたり8千円としても、ヘルパーを雇用できるほどの金額ではありません。やはり家族の労働力を犠牲にしている現状は変りません。家族が介護するのが原則としている実情を変える必要があります。

3 その他 付添費や介護費の問題点
事故直後の入院で、家族が付き添いをするのですが、その付添い費が損害として認められるためには、付添いの必要性があるとされてます。しかし、重度後遺症の場合に、必要性の要件を必要とするのは、おかしいのではないかと思います。
判例の要件は【医師の指示または受傷の程度、被害者の年齢等】から必要性が決定されるとされています。付添いも場合によって3人分認められる例もあるようです。

4 付添いも介護費も、職業介護の場合は赤本では『実費』とされています
ということは、具体的にヘルパーを雇用しなければ、抽象的価格とされることを意味します。できれば、自宅介護ではすぐに、ヘルパーを雇用する必要があるとなります。 介護費のための立証が一番重要となります。