「交通事故における被害者や遺族がうける不条理」
−ニュースステーション 2002年9月26日放映−
平成16年3月15日
 

◎交通事故捜査の問題点
死亡事故が発生して遺族が一番知りたい事は亡くなった家族の最後の瞬間の事実である。これは心情的な部分のみならず法的にも重要である。すなわち民事上では過失相殺の比率に直接影響するばかりか、刑事上も加害者の処分について遺族が制裁を求める権利があるという意味で大変重要である。この点で捜査の段階で警察・検察が一切遺族側に知らせようとしないという事に大きな問題がある。ある意味では警察・検察の捜査権限は遺族から委託を受けているという関係にあると言える。労災事故や医療事故では遺族側が証拠保全をすることができる。ところが交通事故だけは一切できない。これは警察が捜査権限を独占しているからである。要するに遺族側の証拠保全を排除している。そのために遺族としては知りたいことを知ることが全くできない。遺族が目撃者を見つけても目撃者に対して警察がどういう捜査をしているかということは一切知らされない。遺族としては第二の目撃者、第三の目撃者も捜すが、こういうエネルギーを使っても、警察がどのような調書を作るかについては一切監視できないし結果も報告されない。こういった病理的なシステムというものが現実に存在している。情報公開の今の社会の流れのなかで、交通事故の死亡事故に関しては非常に密室で捜査が行われ、被害者や遺族を排除している。そういうシステム自体に大きな問題があると言える。

◎不起訴が増える背景
一言で言えば情報が開示されないという問題がある。事件の主要な捜査資料としては、実況検分調書、供述調書、捜査報告書の3点がある。供述調書には員面調書(警察官が作成する供述調書)と検面調書(検察官が作成する供述調書)があり、捜査報告書(統括捜査報告書)と合わせることで、警察官や検察官の仕事がどうなされていたのかということがわかる。しかし不起訴事件ではペラペラの図面に事故当初の言い分だけが記載されている実況検分調書だけしか開示されない。実況検分調書に書かれた内容から、その後供述が変わったり捜査側の主観が入ったりする可能性があるが、それらを読みとることが可能な捜査資料である供述調書、捜査報告書は遺族に対して一切開示されない。したがって不起訴事件について遺族が検証しようとしても検証できないシステムがある。このために遺族が不起訴事件について争おうとしても争えないという現実がある。そういうなかで不起訴事件がどんどん拡大しても、不起訴事件は検証されずに起訴された事件だけが表面に出る。こういうことが不起訴が増える一つの原因であると考えられる。
―ニュースステーションディレクターズカット−(動画はリンク切れのようです。)