公判事件の捜査記録開示で本当に平等となったか? 平成15年11月5日
 

公判事件開示レクチャー(1)
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 公判事件は平成12年11月施行の被害者保護法で、被害者も第1回公判期日以降閲覧謄写出来るようになりました。被害者が謄写できる時期が一歩進みました。
これにより、具体的に被害者の権利が確保された事件もあります。
検事調書が警察調書よりも加害者に有利に変更されているのが発見された奈良地裁でありました。加害者の警察調書『1時停止しないで右折』が、検察調書で『一時停止して右折』となっていたのを発見でき、検事交替を求めることが出来たのは、公判記録を見れたからです。被害者はそれまでは刑事裁判終了後に見れたのですから、公判中に、捜査情報をいち早く見ることができ、ずさんな捜査への対策も講じることが出来た事案です。
ところで、公判事件で被害者の権利は、実質的に加害者とまったく公平になったのでしょうか?

2 開示時期のずれ
加害者は起訴されると、すぐに記録は開示され謄写も出来ます。公判開始前に、謄写もできます。被害者は起訴されても、その後1ヶ月以上遅れて開始される公判期日からです。加害者と被害との開示時期は決定的に違います。加害者側は公判期日前1ヶ月以上前から記録が全て読めるのです。ですから、公判期日前に加害者が被害者宅へ突然来るのです。しかも被害者が見れるのは、裁判官の許可が必要です。このため、公判期日直後にすぐ見れることはなく、2週間ほど後となります。しかも第2回で公判終了する場合もありますから、被害者が裁判のため、記録を読む時間はほとんどありません。先ほどの奈良地検の例で謄写の許可が出たのは、第1回公判直後でなく、第2回公判期日直前でした。司法当事者の陰謀か、と思うほど遅かったのです。

3 開示対象の違い  ―不同意記録も開示されなければ不平等―
2番目に、弁護人の同意しない記録を被害者は見れません。弁護人の同意しない検察記録を開示してもらわないと不平等なのです。もともと、検事は全ての記録を裁判に出してくるわけではありません。未提出記録もあります。警察や検察に留め置かれる記録です。そのうえ、検事が裁判所に提出しても弁護人が不同意と言えば、裁判には提出できませんから被害者は見れないのです。当事者の立場でいうと、加害者が見れる記録は検察が用意した記録全部ですが、公判開始後、加害者に不利なものがあれば、加害者は目撃者実況見分調書でも不同意出来ます(根本事件がこれ)。
要するに加害者は有利不利を問わず全部見れるし、謄写もできますが、被害者遺族は加害者が同意した記録のみしか見れません。その結果、加害者に不利=つまり被害者に有利な調書は開示されませんから、被害者には自分に不利な調書のみが開示されることとなります。公判事件でも悪質なドライバー程、不同意といいます。不同意をされたら、目撃者の調書は採用されません。被害者遺族もせっかくの調書があるのに、見ることが出来ません。目撃者の証人尋問となります。
遺族は真実を知る機会がなくなります。また出廷したとしても、目撃者は法廷でびびります。弁護人の質問に対してまともに答えられる目撃者は心臓の強い人です。捜査記録は加害者に有利な記録のみ提出され、正義とされ、加害者に不利な点は徹底して尋問されます。目撃者は法廷に出てくるのを嫌うわけです。不公平です。どうですか? 悪質事件でも、これだけの不平等があるのです。司法が文句をいわないのは自分達の仕事に入って欲しくない本音があると思いませんか?

遺族の声(1)  3に関しては理解していませんでした。謄写時期が違うだけと思っていました。
遺族の声(2)  当方は裁判中に全ての書類を入手出来ましたので、不起訴の方と較べ、遥かに恵まれていると思っていましたが、当方の加害者の弁護士が国選でやる気がなかった為、全部同意したのですね。 
遺族の声(3)  初めは「同意」「不同意」の意味するものが分からずに傍聴席でひたすら頭に血が上っていました。もう一つ加害者の警察での取り調べにおいて「言いたくない事は言わなくて良い」とされている事が全く理解できません。この様な裁判の手法は日本独自なのでしょうか?

レクチャー(2)
被害者に不利というのは、司法ではわかってません。遅れています。それに被害者や遺族は、今でも邪魔とされています。その証拠に教えてはくれません。刑事司法では、被害者は邪魔な存在です。当たり前としているのは刑事訴訟法が出来たとき、被害者は蚊帳の外でした。最近の外国はこれを反省しているのです。

遺族の声(4)  起訴と同時に加害者側はすべてを見ることができるが、被害者側は同意されたものを遅れてみることしかできない。この不平等の原因は被害者が裁判に傍聴者としてしか参加できない、本来は何も見ることができないのだけど、お情けでちょっとだけ見せてあげるよ、ということと考えていいのですか? 検察は加害者と同等なのですよね。検察は加害者と同等だから裁判としては平等なのだ、被害者はおまけだという感覚ですか?
遺族の声(5)  交通事故の捜査において警察では「加害者も被害者もない」「貴方も車の免許を持っているでしょ//加害者になる事だってあるのだから----」私もこの様に警察で言われ「おかしい」「何かおかしい」と思ってきました。

レクチャー(3)
ある場面では、犯罪でないとします。 お互い様だとか、起訴率を下げるとかある場面では、犯罪扱いをします。 加害者を大事にしたり、情報開示をしないことです。情報開示が一番ねじれが生じているのです。

遺族の声(6) 私の公判の中身がすべて理解できました。他の遺族に意見を手紙に書いていただいて検事から提出して頂いていましたが、すぐに「不同意」と言う弁護士に対してさすが弁護士だから飲み込みが早いと感心しながら業を煮やしていたものですが、事前に目を通していたからすぐに反応が出来たのですね。よく理解できました。不同意でも相手弁護士は事前に目を通しているんですね、卑怯ですね、今又新たな怒りを覚えます。遺族の声で指摘された「疑わしきは罰せず」も冤罪を防ぐ為に出来たものでそれを交通事故に当てはめるのはおかしいし合理的ではないですね。不利益な事は言わなくて言いことに対しても、これじゃー初めから「真実は言っちゃダメだよ」と教えているようなもので、やり切れないですね。最初から真実を暴く意志が無いんですね。いろんな機会を捕らえて発言していかなくてはいけませんね。「事故被害者の不利益集」「交通事故被害者の納得いかない集」みたいな物を作りましょう。
遺族の声(7) 戦後混乱期に冤罪事件が増え.これ冤罪で苦しめられてきた歴史があったと聞いています。「疑わしきは罰せず」も論法もそのあたりからでしょうか?

レクチャー(4)
疑わしきは罰せずは、警察が拷問をしたりした歴史があるので、証明を警側に求めているのです。これからいうと、交通事故は加害者を最初から逮捕もしませんから、前提を欠きますが、犯罪としてあつかわれるのですね。

遺族の声(8)  ひたすら耐え忍ぶ事を美徳とし.目立つ事を嫌い主張の下手な日本人の気質は司法のゆがみを正す事には向かなかった訳ですね。.今まで遺族達が一揆をおこさなかった訳ですよね。都合の良いおとなしい被害者遺族だったわけですもの

レクチャー(5)
国民性もすこしあるかもしれませんが、むしろ、相談する警察、弁護士が実はシステムという敵方だったことに原因があるかもしれません。いつも被害者をいじめている損保弁護士が被害者事件をしています。いつも損保担当者から、事故情報を簡単に入手する損保弁護士が、疑いの目で調書を読むでしょうか。常に加害者の味方の損保弁護士が被害者の味方となる目をもつでしょうか。目の前の損害回復だけの仕事のみが、仕事としていないでしょうか。 被害者のこだわりが何か、と疑問を持って仕事をするでしょうか。方やいつも地方の弁護士は刑事事件もやっています。刑事事件では被害者の声は記録の中にはありません。 それどころか、記録の選別さえ、刑事弁護人が加害者のためにするのです。そういう弁護士が被害者の声をどう受け止めますか?
事件が終われば、忘れます。この循環システムがあったのです。 北海道講演に残っておられた弁護士さんに、『被害者オンリーの仕事をやるべきですよ。見えないものが見えますよ。』 といいましたが、マニュアルにない仕事は出来にくいのです。 被害者オンリーの弁護士が出ていれば、システムの矛盾に気づくはずです。これから弁護士増えてきますから、こういう弁護士が出てくるでしょうが、修習制度は、被害者排除を原則とする刑事手続きですから、これを待ってはいつまでも改善されません。被害者保護法の改善 被害者の立場の当事者化と立法も必要です。
遺族の声(9) 当事者になって初めて悲劇の持つ意味がわかりました。そして当初自分が「おかしい」と感じた事はやはり間違っていなかったんだと-- 司法が追いついていないだけだという事です。気がついた遺族は命を奪われた者の代弁者です。

レクチャー(6)
 被害者排除システムで、被害者から相談をされたら、壁が多数あります。これに文句をいい、時には法的手続きではない手段で訴えねばならない。それが署名であり、傍聴であり、遺影の持参です。 法的手段ではないが、被害者の戦う手段です。 公判事件での裁判官への手紙も手段です。ゲリラ活動でしょう。 上品な司法の世界では。そういうことの出来る弁護士が、今求められているわけであり、従前のマニュアルに従えば、あきらめなさい、というしかありません。地を這う遺族のためには弁護活動も地を這うようにする必要があるのかもしれません。
そういうのは司法にはむいていないかもしれません。遅れいるのではなくふんぞり返りです。

遺族の声(10) 検察が用意した記録=公判証拠(刑事記録)、と理解してよろしいでしょうか。
別に捜査資料があっても、公判維持を名目に検察が証拠提出しないものについては加害者側にも開示されない、と考えてもよろしいのですか。本来、事故か犯罪かという判断、交通事件の悪質性を見極めるには、それらを含めた全ての資料が被害者に開示されることを望んでいるのですが、如何ですか?

レクチャー(8)
捜査記録はたくさんあり、この中に警察の検察への提出記録と未提出記録とがあります。
京都の事件で損保弁護士が未提出記録があるはず、それも速度を調査した資料があるはずとして記録の提出を裁判所にしてもらったら出てきました。なぜそれを知っているかも問題ですが
検察にも起訴予定証拠として出さない証拠があります。未提出証拠です。姫路の事件でありました。加害者の言う被害者の対面信号が黄色とあるだけで、信号周期が出てないので、おかしいと思い、警察へ信号周期の調査をしたか、照会をしたら、捜査をして検察へ送ったとありましたから、検察が未提出だったのです。出てきた周期表でひっくり返した事件でした。以上が捜査をされても、加害者弁護人の目にも出されない証拠です。未提出記録は、刑事事件加害者側の問題ともされてます。 何が隠されているか、わからないからです。被害者は、これ以上に、弁護人によって不同意とされた記録にアクセスできない、という決定的不利益があります。このため、捜査では、目撃者調書もいい加減で済まされず、そのため、目撃者の徹底捜査はしないことにもなるのです。加害者を調べたら、それに反することは、徹底した裏づけが絶対に必要です。
遺族の声(11)  罰金刑の場合、(裁判が開かれても、開かれなくても)同じく捜査 資料や実況検分調書、供述調書は開示されるのでしょうか? どこまで開示されるのでしょうか? 

レクチャー(9)
公判か、略式裁判で違います。公判には、尋問や論告や弁論もありますし、被告人質問尋問もあります。それと一応、被害者は処分前に、被告人の調書を読むことも出来ますが、略式裁判での罰金は、罰金の処分後にしか被害者は記録を読めません。捜査内容をその以前に、知りようがありません。意見陳述もできません。