重度後遺症裁判のために(12)
高次脳機能障害の介護費認定裁判
平成15年7月12日
 

〈損害賠償訴訟〉福原学園と死亡教授に支払い命令 地裁小倉支部
北九州市の紫川で99年4月、アユのそ上調査中に流されて脳障害を負った九州共立大(同市八幡西区)の元学生(26)と家族が、一緒に流されて水死した担当教授(当時51歳)の遺族と学校法人福原学園に損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、福岡地裁小倉支部であった。古賀寛裁判長は教授の過失を認め、遺族と大学側に1億4350万円の支払いを命じた。大学側が支払った見舞金と賠償金を除いた額で、認定された原告の損害総額は2億2800万円。
原告は滋賀県のYさんと家族。01年に大学側の安全配慮義務違反を主張して提訴。大学側は「Yさんにも3割の過失があった」と主張。
判決によると、Yさんは教授と2人で紫川に入り、定置網を調べて岸に戻る際に流された。Yさんは心肺停止状態で救助され、低酸素脳症による脳障害を負った。会話や記憶の能力を欠き、1人で用便などもできないため、常に介護を必要としている。古賀裁判長は「川は前日からの雨で増水していた。担当教授の責任で調査を中止するか、調査中にさらに増水することを予見して備えるべきだった」と述べ、大学側の主張を退けた。Yさんの父親(56)は「一泰に過失がないと認められてうれしい」と話した。大学側の代理人の弁護士は「早期に円満解決する方法を考えたい」と話した。【近藤聡司】(毎日新聞)

判例解説です。
過失相殺の争点は被害者に過失はないとされました。死亡教授の研究を称える記念碑が事故現場の川の岸辺にあり、被害者には酷すぎるものでしたが、ようやく真相解明された気持です。大学側は学生に過失ありとし「学生が手をあげて自主的に参加」と。被疑者死亡のため、捜査記録がないのを利用し、もの言わぬ被害者に責任転嫁の末の勝訴判決です。

高次脳機能障害の高額介護費認定
高次脳機能障害の家族の介護は、通常の身体介護や意識障害介護と違い、介護費必要の理由が必要です。一般的に認められているわけではないので、これが困難なのが高次脳障害の裁判です。高次脳機能障害の介護では、危険監視介護の意味があり、これをどう評価するのかが争点でした。5体満足。しかし、脳障害があり家族が常時介護の必要ありと主張で、説明のためにYドクターの診断書、鑑定書、意見書と3通も提出。日常の介護生活の日記と写真も提出。入院中の介護状況の深刻さも同時に説明。どうして介護が必要か、そして介護が大変かの立証は、マニュアルにはありません。平成13年東京地裁の高次脳機能障害判決は介護費6千円、ヘルパー1万円の先例があります。高次脳障害での数少ない判決でした。介護費の相場と言われるものは、高次脳機能障害ではいまだないといったところでしょう。(ちなみに、意識障害事件では大阪のKさんの事例が高額で、意識障害事例での家族介護費は8千円から1万2千円くらいです。ただし、ヘルパー必要かどうかによって全く違うようです。)
本件では自立生活できないことを強く主張しました。高次脳障害では自立生活ができるかどうかも争点となります。自立生活の程度が争点なのです。言い渡された判決は、家族介護費8千円。ヘルパー介護費1万2千円と認定。認定損害総額は2億2848万円と高額認定事例です。