なぜ、交通事故が軽く扱われるのか(3)
原因 その4
平成15年6月3日
 

捜査の士気低下
検察が不起訴を増やす運用をし、法務省の交通事故非犯罪化政策により、刑の軽さを生み、交通事故を軽く扱うという雰囲気を生んでいるのですが、このことにより、警察官や検察官の仕事へのモラルも影響を与えております。
警察の事は新聞のアンケート等を本で指摘しましたが、交通警察官の士気がまったくありません。どんなに丹念に捜査、送検しても大半は起訴されないケースばかりなので、『ストレスがたまりやすく、他の部署に比較して評価が低い』とされるのです。日経新聞のアンケートでは交通警察官の9割近くがこう思っているということでした。仕事の実態は、過失判断も難しく、裁判官のような判断を一瞬の仕事で要求される仕事であるにもかかわらず、仕事に対する評価も低く、かつほとんどが不起訴となり、やりがいがないからです。国の交通事故非犯罪化政策が交通警察官の仕事への評価をマイナス評価にしているのです。交通警察官は、仕事をまともにする気が生じる訳がありません。
やる気のない警察官が、事故直後、捜査をするのですから、初動捜査のミスは日常的にあると思わねばなりません。実際、過失の判断は相当難しく、また当事者や目撃者の言い分を裁判官のように、迅速かつ公平に聞かねばならないのですが、現実には、事故処理期間の短さ、人員の不足、岡引捜査の実情、その上、士気がないので、捜査ミスは恒常的にあります。

『幼児の横3列の自転車走行』 (ありえない被害者の走行)
民事係争中の岸和田の重度後遺症の事案があります。トラックに轢かれた重傷事故です。実況見分を片手に、現場に行くとびっくりしました。警察の実況見分図面では、被害者幼児は横一列に並んで歩道を自転車で走行していて転倒して、トラックが轢いた事故として処理されてましたが、現場は子供1人がやっと通れる歩道なのにです。
この事件は、被疑者が事故後死亡したため、被疑者死亡ゆえ不起訴事件として処理され、実況見分調書図面のみが証拠となった事件です。ところが現場に行って、びっくりです。幼児が1人で走行できる歩道でした。警察官の完全なミス調書です。どうして基本的ミスを犯すのか、被害者には信じられません。実況見分調書といいながら、実は警察署の机で被疑者の言い分に沿う調書を作るから、こうなるのです。

『加害者は見ていなかった被害者信号黄色』(警察官の強引な誘導調書)
姫路で発生した、赤信号無視、轢き逃げ事故の民事審理が先日行なわれました。争点は被害者側の信号です。加害者調書は『被害者の対面信号黄色を見た』と記載がありました。検察でも同じです。
ところがです。
先日の民事裁判の加害者の尋問回答は
『被害者の対面信号は見てません。記憶がないというより見てません。警察官が黄色だというので、仕方なくその通りとなりました。』と。
驚きました。年齢も若いドライバ−のため正義感が残っていたのでしょうか。
被害者の信号は見ていないと。
法廷に立つ加害者で、正直な人物を見たのはあまりありませんでしたが、正直な若者でした。
いいかげんな捜査がなされているのです。私が担当した半年のわずかな事件でも、びっくりする事件があるのです。警察の交通事故の捜査がずさんかを示してます。

捜査の重大性に反比例する捜査の士気
交通警察の捜査の仕事は、裁判官に近いことを現場の警察官に任せています。交通検察が交通事故捜査から撤退しており、検証をできないからです。かつて、難しい事案では交通検察と交通警察との協議もなされていましたが、今や警察に任せっぱなしです。
交通事故の現場捜査は、交通事故直後の証拠保全、目撃者探しと目撃者からの聴き取り、それと被疑者からの聴き取り、スリップ痕から算出される速度、と実際には、科学的な判断要素が必要でありますが、かつ裁判官の仕事の面があります。
ところが、目撃者の話を最初に一方的に聞き、調書に記載し、被疑者の話もそのまま記載する。被害者の立会いや被害者の反対質問を一切しないまま調書に記載することは、裁判官以上の質の高い仕事なのです。
ところが、被疑者の言い分も、証拠を固めて尋問しなければいけないのに、最初から肯定的に聞いて調書に記載する。目撃者の話や状況証拠から判断して、慎重に被疑者の話を聞かなければならないのに、実際には、被疑者の話から聞いてしまい、被疑者調書を最初に作ってしまう。しかも被疑者は逮捕もされない。
取り調べの心構えの、初歩さえ怠っている。一般刑事事件の捜査のような手法はとっていません。迅速処理の意向が強すぎるためです。
警察官には、かかる重要な仕事をしているのだとの認識はありません。

検察
以上のことは、検察にもあてはまります。検察内で、一番低い部署。しかも副検事が行なう仕事ですから、士気は警察以下となる面すらある。
検察の士気は、どういう場面で出てくるのか、というと、被疑者調書作成段階、遺族調書段階、公判段階で出てきます。
副検事には、現場での捜査などやる気もありませんから、警察の捜査の検証など出来ません。警察幹部が、皮肉気味に言う言葉があります。『交通事故では検察は捜査から撤退しましたからね』と。検察は振り分けのみが仕事であり、しかも処分権限まである副検事が起訴不起訴の振り分けをするものですから、当然調書作成でも警察よりも『被疑者寄り』となる傾向があります。ひどい場合には、警察で捜査した過失を落とした記載さえしてしまう。捜査能力がなくなった交通検察の果ての姿は、不起訴にしたり、罰金にしたりしてしまう為の、仕事しかありません。被害者にとって敵対した姿しか見えません。検察の腐敗は今から説明します。