『慰謝料増額事情』と過失相殺 平成14年11月30日
 

今日は、関東で母子2人死亡した事故の民事裁判の水戸地裁第2回目です。

慰謝料増額事実として、重過失を当方主張。加害者の直接の過失はよそ見運転による追突による死亡で、事故の直前の過失なんですが、実は加害者は手術をしたばかりの体。そういう体で、車に乗ること自体が本当は過失なのですが、検事の追求の甘さもあり、過失は直前のよそ見のみとした起訴。刑事ではわずか1年数月の実刑判決でした。このため、乗ってはいけないのに乗った点の部分も含めて、民事裁判では『極めて著しい過失』を当方は主張。慰謝料増額事由の主張です。
刑事公判では検事は4年を求刑した程、実態は悪質。しかし刑事判決は2年以下。
検察は控訴しましたが、結果は一審どおり。何が足りなかったかと言うと、捜査側が過失の判断時期をあくまで直前過失に求めたため、前方不注意のみの過失とされたのです。本来は過失の判断は全人格的判断のはず。緩く過失を解しないと、厳しくは罰せられないのは当然です。

慰謝料増額事情というのは、交通事故の解説本には、ほとんどありませんが、弁護士会の赤本に少し記載があるポイントです。
交通事故解説本にあるのは、過失相殺の事例が詳しく書いてあります。しかし、加害者の行為が悪質な場合にどれほど慰謝料が増額されるか、解説している本は皆無です。赤本も判例紹介のみ。損保事務所が発行している交通事故の解説には、言葉すらありません。
このため、慰謝料の上限はなぜか、3000万円とされており、これを超える判例はほとんどないのが実情です。談合をしているかのようです。慰謝料が固定的相場であるような原因は、こういうところにもあるのです。
たまに、遺族側が慰謝料増額事情の主張をすれば、『制裁的慰謝料は認められておりません』とか損保の代理人は反論します。アメリカでは制裁的慰謝料が認められ、基本慰謝料の2倍くらいは当たり前。日本ではこれが認められていないのです。 しかし日本の制度を前提としても、良く考えれば、被害者側の過失については、細かく検討し、過失相殺を言うのであれば、公平からも加害者側の悪質な事情も当然に判断されるべきです。過失相殺の比率でいうならば、100対0にとどまらず、150対0や200対0の比率があってもいいはずです。
慰謝料増額事情を仮に裁判所が認定しても、せいぜい基本的慰謝料の1割程度が裁判所の相場のようです。決めてかかる裁判所の姿勢には閉口しますが、こだわりの裁判を積み重ねるしかないのでしょうか。