確定遅延損害金
―判決主文は2段構えから1段へ―
平成14年11月7日
 

確定遅延損害金なるものは6〜7年ほど前から被害者遺族の声に応じて交通民事裁判において認められてきたものです。被害者遺族の相談で出てくる事例では、未だにこれについて知らない弁護士もいるようですが。
確定遅延損害金とは、事故後被害者が自賠責請求をして3000万円が2年後に支払われた場合、その後裁判した場合には3000万円は損害金から控除される(損益相殺)のは当然ですが、事故後相当経過してますから2年後に支払われた3000万円に対する遅延利息は2年分発生しているので、2年分の遅延金、ここでは300万円が最近ようやく損害として計上されてきた金額です。既に損害項目としてはほぼ確定し、確定遅延損害金と称されております。もっとも岡山支部民事判決等否定する事例もありますが(控訴逆転)。
 これでいくと、訴訟で求める請求の趣旨において、例えば3000万円控除後の損害が5千万円として『5千万円を支払え』とし、その後に続く請求の趣旨文は確定遅延損害金が300万円であれば300万円を差し引いた元本となるので『及び4700万円に対する事故日から年5分の割合による遅延損害金を支払え』とされてきました。いわば2段構えの請求であり、判決なのです。

しかしこれでは、請求の趣旨や判決を分かりにくいものとしてきました。裁判所の受付けでも訴訟の印紙代の計算をするのに、窓口で対応がさまざまでした。一応最近は、上の例では5千万円が訴額でなく、4700万円が訴額として印紙代が計算されるようになりました。しかしながら、請求の趣旨=求める裁判はやはり2段構えの請求となり、判決も2段の文章となります。たとえば判決文の具体例でいうと『金5千万円、及び4千700万円に対する事故日から年率5分の割合による金員を支払え』となります。
先日広島高裁岡山支部で当職がもらった判決は、これを解決したものであります。

『自賠法にもとづく支払いによって、元本債務に相当する損害が充当されたとしても、その填補にかかる損害金の支払債務に対する事故日から支払い日までの遅延損害金は既に発生しているわけであるから、遅延損害金の請求が制限されることはない。自賠法に基づき支払われた保険金3千万円については、その全額が損害元本に充当されるものではなく、
自賠責支払い金に対する遅延損害金288万円を控除した2712万円が損害元本に充当されるべきものである』平成14年10月24日言い渡しです。
これにより、主文は1段だけの文章となりました。