示談交渉や和解をなぜしていけないか? 平成14年8月28日
 

一度メッセージした問題ですが。

  1. 日本では、これは積み上げ方式が当然とされています。少しづつ積み上げる交渉方式です。限界はすぐです。
  2. 次に示談交渉も交渉ですから、自分が言えば、それに拘束されるという自分への面子もあり、相手もそれを前提にその間の金額となります。相手の面子も守らなくてはいけない交渉となります。交渉に入れば自分が拘束されるという交渉の罠が待ってます。
  3. 裁判官も示談交渉したか、必ず聞いてきますので、交渉したと聞くと、待ってましたとばかり和解案を勝手に作成します。
  4. 和解とか示談という言葉は、そもそも悪質事案の解決の言葉として遺族には到底馴染めない言葉です。
  5. 意味は仲良くするということです。どうも腑に落ちない、という遺族の多くは、この心の問題に気付かない場合が多いのです。自分を責める原因となるのです。
  6. 裁判官すら示談や和解を好みます。和解をしたことのある弁護士ならば、裁判官に和解勧告すれば、断ることはむずかしいのです。そりゃそうです。前に和解に協力したのに、と裁判官の面子を害します。多くの弁護士は好んで和解をするというわけでないのに、和解手続に入らざるを得ないというのは、裁判官のごり押しも結構あるのですね。ですから、損保弁はこれをやってるので頼まない方がいいこととなります。地方ではどの弁護士も損保の仕事をしてますので、なおさらです。損保の仕事をしてなくとも和解の雰囲気は日常的です。一番遺族が感情を害することですね。
  7. 示談の一つ、和解手続に入ったら、もう後には引けません。裁判官の面子が出てきます。どうして断るのか?自分の設定した場を? 何にも言いませんが、拒絶の付けは、無言で意地悪をすることがありえます。特に裁判官が和解案なるものでも作成したあげくに断ると、強烈に面子をつぶされたと思います。これが一番怖い! のです。
  8. 示談でも、和解でも遺族の方だけ悩みます。どうしてか?損保は自分としては精一杯です。本社の決裁が必要ですといいます。例外はありません。弁護士にすら、決断権限が与えられておりません。損保の弁護士はどうしようもないのです。困るのは遺族です。裁判官がどうしますか、と責めてきます。決断をしない遺族を。決断をしない遺族側弁護士を。弁護士は決断を求め、遺族側でひたすら悩むのが示談和解システムの弊害です。
  9. 逆に判決を求める裁判ならば、徹底して、真実の追究はこだわりを持つ点を展開できます。たとえば、公判での嘘で心情害された、公判時に約束したお参りに一回も着ていないことで心情を害された。事故後の対応では、痛く心情を害された。すべてがテーマとなりえます。土俵は遺族で設定できます。それをどう評価するか、裁判官の勝手ですが、裁判をきちんとできるし、発散の場となります。心情の閉塞もなくなる可能性があります。長期となっても、長期の分だけ利息が年率5%もつきます。0金利時代に望ましいというより、進んで長期の裁判をしたい、と思うほどです。4年やれば、2割の利息、8000万円が損害としたら、1600万円もおまけがつきます。どうですか?
  10. 具体的相談 20歳就労していた死亡被害者の例でいうと、損保提示金額(相手一方的過失、轢き逃げ数年の実刑)
      葬儀費    100万円 慰謝料   1800万円
      逸失利益   2940万円 計     4840万円
    (ライプニッツ方式 17.891 中間利息 5%3,274,200円H12年度賃金センサス高卒20才)の呈示はいかがでしょうか、と相談がありました。
     (回答)慰謝料は悪質極まりない事故ですから、上限3000万円でもいい事案。逸失利益は損保の手です。20歳の実際年収あるいは賃金センサス。これは今は生涯の平均、つまり高卒平均の528万円となりますから、5%控除率で言っても、4723万円となります。以上で7723万円となります。
    事故日よりの遅延損害金が年率5%で加算されます。元本に対してです。
    裁判所基準で計算しても、8100万円以上となる。
     交通死亡事故の相場には3段階(私は4段階と思うが)あると言われます。損保との交渉時、損保の弁護士が入る時、裁判時の3つです。どれを選ぶから自由ですが、交渉で気をつけるべきは、入った以上は面子もあるが、後に裁判しても話し合いをしたか、必ず聞いてくるということです。裁判しても示談の延長みたいなものです。2年前に終了した22歳男性事案は、こっちがつけた弁護士が5300万円の呈示をして、これ以上は無理と言われ、遺族弁護士解任後私が判決までいったのですが、結果的には依頼弁護士呈示の2倍となりました。裁判にも、和解レールと判決レールに分岐され、判決が一番高くなるということは、理解されにくいでしょうか。示談では6千万円前後が限界。
    それ以上を希望すれば、判決まで行く弁護士を頼め、となります。8500万円から9000万円(弁護士費用加算認定もあり)以上です。 損保の呈示は馬鹿にしていると思われませんか?
    自賠責を含んでの呈示ですから、これを含む場合は切り離して、さっさと自賠責請求をしてから、後日ゆっくり残金請求としたら、交渉しないほうがいいと悟ったほうがいいでしょう。示談などせずに、自賠責請求をしなさい。残金は時効時点の3年直前に考えればいいのです。これを勧めます。示談交渉なんて、損保の利益のための方策です。