大阪池田の小学校乱入殺傷事件における容疑者調書の捜査段階の公表について 平成13年6月26日
 

@ 史上初の捜査段階での加害者調書の公開?事件
平成13年6月24日の毎日新聞朝刊に大阪池田小学校乱入殺傷事件の容疑者の調書公表の記事がありました。記事の内容は、調書公表は捜査側の行き過ぎではないか、とするもので、フェアでないとの弁護側反対意見もあり、他方で弁護人解任の真意の内容ゆえ捜査内容の漏洩でなく守秘義務違反でないとする刑訴法の渥美教授の賛成意見等を載せております。捜査側は被害者遺族の心情に配慮したものとありました。鵜呑みにすべきではないでしょうが、遺族には画期的な事件です。
それにしても今回の措置は交通死遺族が望む捜査段階での捜査情報の公開に一歩近づいた処理で、理由は問題もありますが、被害者支援としては大いなる前進と評価すべきです。これまでの捜査情報公開は捜査段階で公開されたことは一切ありませんので、史上初めてのことです。捜査情報の公開は現在のシステムではもっとも速くても刑事裁判が始まってから被害者遺族へ公開される場合ですから、捜査段階での捜査情報の公開こそ被害者遺族の切実な願いです。

A被疑者調書の公開の必要性の理由は交通犯罪と一般犯罪とでは違う !
殺人犯罪などでは加害者の不利になるように調書が作成されやすいのでないか?と被疑者や弁護人側で常に問題とする点です。たとえば捜査側の誘導的な調書となっていないか、任意の供述に基づくものであるかです。被疑者の人権が問題となる場面です。ところが、交通犯罪の調書では加害者の供述に沿う内容になってないか、という点が被害者側の関心事です。被害者側の言い分や目撃者の言い分を無視していないかです。 
同じ調書の内容について、一般犯罪と交通犯罪では、まったく異なる視点から疑問が出るわけです。
一般犯罪では刑事弁護人は調書が警察の誘導や脅迫に拠ったもので、刑事手続き上無効と争います。加害者の人権は守られることとなります。
ところが交通犯罪の加害者の調書内容については、どうでしょうか?
刑事弁護人も検事も争うようなことはほとんどしません。不起訴原則主義であるためもあり、事件は軽く扱われ、加害者を拘束したり、加害者の供述を疑う捜査活動はしません。そのために刑事手続きで加害者の人権が問題となることも余りありません。
被害者や遺族はその後に始まる民事裁判で、加害者の嘘を知ることとなるのです。 そこで、加害者の刑事の調書内容を捜査段階から公表してほしい、と願うこととなります。この捜査情報の公開の必要性の意味の違いを理解してほしいものです。