7 逸失利益算定で中間利息控除問題とは何か? 

 交通死被害者がまだ20年働くことが出来たとして、死亡時の年収を500万円、生活費控除率を50%として、逸失利益を計算すれば、500万×0.5×20=5,000万円となります。
 ところが、実際は本来の就労時に受け取るべき所得を、現在受け取ることによって、被害者側が将来の当該時点まで受領金を運用し、利息を得ることができるので、その利息を「中間利息」といい、中間利息分が控除され、被害者の取り分が少なくなります。利率について5%とするのか、実際の金利並みとするのか、という利率の争いがあります。また控除方法として利息を単利扱いとするか、複利扱いとするかの問題もあり、複利計算をライプニッツ式といい、単利計算をホフマン式といいます。 

中間利息控除利率 
 多くの判例では、このうえに複利ライプニッツ式とされています。
 先ほどの例で同じように計算すれば、
   5,000,000×0.5×12.4622=31,155,500 となります。
 先ほどの計算と比べ、1,900万円もの差が生じます。中間利息控除は正しいのでしょうが、被害者が5%もの高利で、複利で運用出来るものだとして差引かれることに問題があります。
 平成11年11月に東京・大阪・名古屋の三地裁の統一方式として、平均賃金ライプニッツ方式が採用されることでこの問題は一応統一されましたが、その後、中間利息の利率について2〜4%とするとの判決が相次ぎ、5%ライプニッツ方式と異なる判例が10件ほど出て、問題となり、最高裁はH17年7月に、法定利率の5%によると判決を出して、利率論に決着がつきました。

ホフマンとライプニッツ 
 この対立は、昔からありましたが、最近は民法405条に違反するのでないか、
 また金利を被害者から取りすぎていないか、との問題からアプローチされています。
 最高裁の判決直後のH17年8月に、『ホフマン方式こそ民法に合致する』との福岡高裁判決が出て、被害者遺族がホフマン式による訴訟をするケースが増えています。
 民法405条では複利計算禁止のはずなのに、ホフマン式でなく、ライプニッツ式による判例があまりに多いことは問題です。今のライプニッツ方式による計算の仕方は違法であり、ホフマン式によるべきだと思います。