2007年6月26日、交通死被害者遺族とともに理不尽な処理システムに立ち向かっていただいた故松本誠弁護士は、自ら法制審議会委員として「自動車運転過失致死傷罪」の新設という、交通死ゼロへ向けての画期的な変革に臨み、その施行を見届けた後、JR列車事故で急逝されました。
 このサイトは、自動車運転過失致死傷罪施行の翌日、6月13日の記事を最後に、更新されることはなくなってしまいました。
 インターネット上から、このサイトの情報が消えてしまうことは、交通犯罪の被害者遺族にとって大きなマイナスであり、ここまで交通死被害者遺族を牽引してきた故松本弁護士の足跡を残すという意味でもなんとかしたいという思いがありました。
 そこで、故松本弁護士のクライアントでもあり、友人でもあった森本祐二が個人として「higaishasien.com」のドメインを取得し、私が運営できる状態にある限り「松本弁護士の遺産」として継続していくこととしました。もちろん、私が内容を更新することはありませんので、コンテンツの情報は2007年6月13日までのものであることをご了解ください。
 故松本弁護士の関係者の方々には、上記をご理解いただきサイトの継続を黙認していただきたいとお願いするものですが、問題がありましたら森本までご連絡をいただきたいと存じます。速やかに対処させていただきます。
 ドメイン更新日は6月19日となっていますが、これは奇しくも私の誕生日であり、故松本弁護士が最後の法廷での尋問となった、私の息子の交通民事裁判の被告尋問の日でもあります。今後は、息子と松本弁護士の2つの生命を背負って「交通死ゼロ」に向けて尽力する決意です。

(以上、2008年6月19日追記)

 私は交通死被害や重度後遺症被害の会の支援活動に関わる弁護士です。
 交通死被害者遺族や重度後遺症被害者家族からの相談を受けるたびに相談者にはシステム側への激しい怒りがあります。被害者側の立場で処理システムを見た場合、被害者側にいかに不都合に出来ているか痛感します。被害者の命を大事にしない、遺族への冷たい扱いです。処理システムとは、刑事においては、警察の捜査から始まり、検察の捜査、検察の起訴・不起訴決定、刑事判決に至る手続きであり、民事においては保険会社からのビジネス的な金額交渉、弁護士の事件着手、交渉、民事裁判という手続きです。遺族の憤懣や怒りの声を何度も聞くうちに、処理システムは被害者に対し大きな誤りを犯しているのではないかと大きな疑問を持っています。
 たとえば、交通死亡事故が発生して、遺族は悲嘆に暮れる毎日が続きます。その一方で捜査などのシステム側が被害者や遺族、家族への捜査情報公開を拒否したり、あるいは、加害者が刑事責任軽減のためにいろいろな交渉をして来たり、あるいは損保が加害者に言われて成立の見込みがない示談の呈示をしてきます。遺族はいろいろな場に否応なく望まねばならない現実があります。
 被害者遺族の願いは事故の真実を知りたい、そしてもし加害者が悪いのであれば、相当の処罰や制裁を受けてほしい、と願うのですが、被害者遺族はなじまないシステム側の対応に当初からショックを受けつづけます。システムによる2次被害の現実があります。警察官がよく言う言葉「事故はお互い様だから」とか「もっと前を向いて生きなさい」から始まり、遺族が面会を求める副検事は遺族には会いたがりませんし、会っても事件のことには触れたくないのが現実です。遺族にはいらいらがつのります。ここで頼んでいた弁護士に相談をしても「刑事裁判を待ちましょう、処分が出るまで待ちましょう」と言われ、挙句の果てになんにもしてくれずに、加害者の申出た調停に出て行き、示談を勧めるようになります。依頼弁護士による2次被害があります。遺族の心情を逆なでする行為が続きます。刑事裁判でも民亊裁判でも審理はマニュアルに沿ったような審理のし方で進み、現場検証もなく、審理は書類の提出だけで終わり、遺族は「なんだ、これは」と思う場合がほとんどです。裁判は形式的な類型的な判断だけを必要とし、遺族の証人尋問などシステム側は不要と考えているのです。真実を知りたいという遺族の願いは消されてしまうのです。命に対する尊厳などは毛頭なく、慰謝料は子供いくら、大人いくらと物の値段であるかのような民亊裁判の評価のし方です。
 裁判所は法秩序維持を是として、個々の事件審理をするのではなく、被害者の声を無視する事こそが審理のためにいいかのような雰囲気さえ見うけられます。捜査情報を公開しないのは被害者の立場保護がシステム上なく、法秩序維持こそが至上とされているからです。民亊の慰謝料画一化、中間利息5%固定論などは法秩序維持の最たるものでしょう。刑事裁判でもしかりです。被害者の望む加害者への質問権など認められていないのです。これも法秩序維持の考え方でしょう。
“加害者天国ニッポン”とも言える程、加害者に対しあまりに保護的なのです。民事交渉面や民事裁判の現場でも、被害者を無視し、加害者を保護するシステムが出来てるように感じます。 被害者を排除しているシステムが日本の交通事件解決システムであり、それを背景で支えているのが、検察の不起訴原則主義であるのです。
 交通事故の被害者数は平成11年度には106万人に達し、かつての「交通戦争」とされた昭和40年から50年代の防止目標の数字100万人を突破していますが、「処理システム側」には危機感は感じられません。今の交通戦争とは、交通処理システムに対する被害者の権利を求める闘いであり、システム対被害者の戦争であり、システムの現状を改善していくのは、被害者が参加できるシステムしかないのです。
 このホームページは交通死や重度後遺症被害者のための支援相談コーナーです。被害者支援の被害者参加システムを作っていくためのきっかけになればと思います。